42. 初院生が初学会で初受賞

 大学教員になって4年目(早稲田大学の研究所教員を含めると6年目)の今年度から、今井研究室が発足しました。初めてもつ大学院生は、ゼミから内部進学した学生です。設備や制度が整っていない本大学大学院を進学先に選び、しかも、私の研究室の門を叩いてくれたからには、私も教育に力を注ぎたいと常日頃から思っています。

 私の研究室のルールとしては、大学院生は学会を筆頭発表で3つ以上行うということになっています。先日、健康心理学会に院生が初めて発表を行いました。そして、幸運にもポスター発表賞を受賞することができました。彼女は初学会で初受賞というラッキーを手にしたわけですが、私からすると、初院生が初発表で初受賞ということになり、もう1つの幸運を得られることになりました。受賞自体は非常に嬉しいことですが、そのこと以上に嬉しいことが学会会場で経験することができました。

 ポスター会場を1周した後に指導院生の発表を見に行こうとした時、早稲田時代の学部生からずっとお世話になっているS先生が指導院生のポスターを見ていたのです。駆け寄り挨拶をすると「この研究、おもしろいじゃん」と言っていただきました。その瞬間、昔のことを思い出しました。

 S先生は、指導教員ではなかったのですが、私の研究と臨床の指導をしてくださった恩師です。私が修士1年で初めて学会発表したのは「日心のワークショップ(話題提供者)」だったのですが、進学して早々、発表を引き受けたことを(あまりの荷の重さに)後悔していました。そんな時、S先生が「お前、頑張ってるな。発表頑張れよ」と学会前に声をかけていただき、勇気をもらいました。同年、自分の研究に自信がなくなってしまい、複雑な気持ちで初めてのポスター発表をしていると、「おもしろいじゃん、この研究、ちゃんと続けろよ」と言っていただきました。この言葉がけをいただいていなかったら、私は教員を今していないと思います。そして、今は自分の学生の研究にもコメントをいただき・・・自分もいつまでも励まされてばかりではいけないと、帰りの新幹線で思いました。(教員:今井正司)