小さな子は身近な存在をマネることによって、様々なことを学んでいきます。心理学ではモデリングと呼ばれる行為ですが、むーちゃん(2yr2m)も、最も身近なお手本(りったん:4yr4m)から、良いことも悪いこともモデリングしています。
最近は、テレビを見ながら呟いているような独り言まで、むーちゃんはマネをしようとするので、「むーちゃん、マネしないで!」とりったんの怒りをかうこともしばしばです。むーちゃんが特にマネをしたいのは、りったんのダンスです。どんな番組でも音楽がかかると、オリジナルのダンスを即興で踊っているのですが、そのダンスをマネしたいらしいのです。しかし、なかなかマネできないので、どんな小さな動きも見逃さないように、踊りながら「お手本」を凝視しています。私としては、ハードなオリジナルダンスよりも、基本的な動きが入っている「振り付け」の方がカワイくていいなぁ、見たいなぁと思っていました。そのため、むーちゃんには、ベネッセのテレビ教材を見ながら踊ってもらうことにしました。画面に出てくるシマジロウの動きに合わせて、手を上げたり下げたり・・・可愛いです。しかし、そんな和やかなムードも長くは続かず、「むーちゃん、そうやないから。ちょっとみてて!」と後ろから、むーちゃんが憧れる先生からの指導が・・・。そして、むーちゃんは、画面を一切見ることなく、独自のアレンジが加わったダンスを食い入るように見つめるのでした。先生は丁寧に教えるつもりはさらさらなく、「見て覚えろ」という教え方のようです。。
バンデューラという心理学者は、モデリングの研究のなかで「代理強化」に関する実験を行っています。この実験では、テレビの中に出てくる登場人物が悪いことをやって仕返しをされる主人公の映像を見た後の子どもたちは、その主人公と同じような状況に置かれると、主人公のような悪い行動をしないようになったというものです。つまり、主人公などのモデル(マネする対象)が叱られると、「僕もあのように行動すると叱られる」ということを代理的に学ぶということです。むーちゃんの場合もひょっとしたら、りったんがダンスすると非常に両親が褒めて盛り上がっている状況をみて、「むーちゃんも!」と代理学習しているのかもしれません。たしかに、絵を描くことも好きなのですが、それもいつも賞賛されているお兄ちゃんの状況を見ているからかもしれません。しかし、「悪いこと」については、まったく代理強化が行われておらず、直接叱ってもニコニコしているだけです。そこの学習もして欲しいんだけどな・・・と心理学者夫婦は思っています。